保管も犯罪!? PCウィルス作成罪の改正法案が2011.04.01国会に提出

2011年4月1日、第177回国会(常会)において、「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が提出されました。

すでにご存じのかたも少なくないはずですが、この改正案はいわゆる「ウィルス作成罪」のことで、あくまでも現代コンピューター社会にそぐわなくなった刑法を実状にあわせて改正しましょうという”案”であり、実は2004年頃からいまだ成立に至っていません。

この案には、ほかにも、P2Pなどのネットワーク経由でわいせつ物を共有した場合も「わいせつ物頒布罪」に含まれることや、複写による犯罪コンピュータ内のデータを差押さえ、そして、プロバイダーなど電気通信事業者に対して捜査の必要性からその当該通信記録を最大で60日間保存することを要請可能にする規定などが盛り込まれています。

・法務省 第177回国会(常会)提出主要法案
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html

・「ウィルス作成罪」に関連する改訂・新設案の抜粋

http://www.moj.go.jp/content/000072554.htm

第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
(不正指令電磁的記録作成等)
第百六十八条の二 
正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。

(不正指令電磁的記録取得等)
第百六十八条の三 
正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

コンピューターウィルスを保管してるだけでも犯罪?

今回、特に驚いたのが、コンピューターウィルスの単純所持・保管でも「二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に該当する可能性があることです。
この案では、”正当な理由”がないのに、”電磁的記録その他の記録を取得”し、または”保管”した者とされています。 意図的にウィルスを保管することついての基準が曖昧ですが、この場合、「他者、もしくは他の電子機器に危害を与える目的で所持・保管」などの表現が正しいのではないでしょうか?

コンピューターウィルスも、しょせんは一介のプログラムにしか過ぎません。
道義的なものを無視していえば、ウィルスプログラムそれ自体にも著作権は存在しえますし、はたまた、その作成にすら罪が科されるのにはやや疑問を感じます。

これは、IT後進国である日本らしさを象徴しているのかもしれません。

警察庁が2009年のサイバー犯罪統計を公表、ネットオークション絡みの事件は前年の約半分に

「サイバー犯罪」の検挙件数の推移とネットワーク利用犯罪の内訳の推移(クリックで拡大)

2010年3月4日、警察庁は、2009年に発生したサイバー犯罪(ITや情報技術を利用する犯罪)の検挙状況などについての統計を公表しました。

全検挙件数は6690件で、前年の2008年と比較して5.8%(369件)の増加となりました。
この内訳は、「不正アクセス禁止法違反」が2534件(前年比45.6%増)、電子計算機使用詐欺などの「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪」が195件(同 21.1%減)、オークション利用詐欺や児童買春・児童ポルノ禁止法違反、出会い系サイト規制法違反、著作権法違反などの「ネットワーク利用犯罪」が 3961件(同8.6%減)となっています。

特に目立つのは、ネットオークションを利用した詐欺行為で、2008年の1140件から522件へと約半分となる54.2%減少しています。
これは、ヤフー(ヤフオク)、DeNA(モlバオク)などのネットオークションの大手事業者が、警察の要請をもとにエスクローサービス(代金詐欺の防止と商品の安全な受け渡し)などを導入したことが効果を上げたものとしています。

ただし、2009年には「不正アクセス禁止法違反」に含まれるオークションがらみの大きな事件があり、「Yahoo!オークション詐欺・イーバンク銀行不正送金事件」として検挙したものが上半期だけで1813件あったことがすでに警察庁から発表されています。

「サイバー犯罪」の検挙件数の推移とネットワーク利用犯罪の内訳の推移(警察庁の発表資料より) 都道府県警察で2009年に受理したサイバー犯罪などに関する相談件数は、8万3739件(前年比2.1%増)でした。
その内訳を見ると、架空請求メールに関する相談(2万5856件、同17.4%増)、迷惑メールに関する相談(6538件、同8.3%増)の増加が目立つ一方、インターネットオークションに関する相談(7859件、同12.6%減)は減少しています。

警察庁では今後、取り締まりの強化を図るとしており、例えば違法情報対策については、違法情報の投稿者だけでなく、違法情報の投稿・書き込みを認識しながらそのまま放置しているサイト管理者の刑事責任の追及も視野に入れた捜査を行うことを発表。
また、国民や事業者に対しても注意を喚起し、サイバー犯罪に強い社会づくりを目指すとしています。

警視庁による公表文書(PDF)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf54.pdf

 

 

ヤフオク詐欺、イーバンク不正送金事件で、2009年上半期に1813件の検挙件数に

2009年8月20日、警察庁は2009年上半期の「サイバー犯罪」の検挙状況を公表しました。

不正アクセス禁止法違反行為による検挙が1965件に上り、2008年同期の157件から1151.6%増加しています。
Yahoo!オークション詐欺・イーバンク銀行不正送金事件として検挙した15名の犯行グループによる不正アクセス禁止法違反が1813件に及んだことがその大きな要因となっています。

このほか、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪が47件で、前年同期の73件から35.6%減少。ネットワーク利用犯罪は1858件で、前年同期の1962件から5.3%減少しています。

ネットワーク利用犯罪の内訳は、詐欺が706件(前年同期比21.1%増)、児童買春および青少年保護育成条例違反が328件(同33.7%減)、わいせつ物頒布等および児童ポルノ事犯が247件(同19.9%増)、出会い系サイト規制法違反が184件(同15.7%増)、著作権法違反が52件(同 33.3%減)、商標法違反が42件(同62.2%減)など。

詐欺のうち、インターネットオークションを利用したものは295件で、前年同期比で84件(22.2%)減少しています。

上半期に都道府県警察の相談窓口で受理したサイバー犯罪に関する相談は4万3756件で、前年同期の3万8506件から13.6%増加しています。
インターネットオークションに関する相談が前年同期の5089件から4080件へと19.8%減少した一方で、詐欺・悪質商法に関する相談が1万7054 件から2万1733件へと27.4%増加し、迷惑メールに関する相談が2859件から3343件へと16.9%増加しています。