2011年前期向、2010年総合評価・比較ランキングNo.1ウィルス対策ソフトが発表!

昨年年末に、2010年(平成22年)年間を通じての世界の代表的ウィルス対策ソフトの各種性能テストの総合成績にもとづいたレポートが、AV-Comparativesより公表されました。
ウィルス対策研究所がこのレポートにおいて着目しているのは、製品パッケージとして有償(有料)で提供されているウィルス対策ソフトと、無償・無料で利用可能なソフトウェアを並列に扱いその評価対象としていることです。

当研究所では、おおよそこの年初頭に一度、昨年のデータをもとにしたウィルス対策ソフトの評価やランキングをお伝えしています。
その理由は、ほとんどのウィルス対策ソフトベンダー(メーカー)は、年末に向けて新機能を搭載した新バージョンをリリースしてくることが通例であり、リリース後、一定期間をおいて得られるそれらの性能・挙動・パフォーマンス・実績などを考慮した評価こそが、本年の実際のPCセキュリティの現場において重要だと考えているからです。

今回のこのAV-Comparativesは、あくまでも2010年の初頭から年末までの通年の総合成績を第三者機関としてテストしたものであり、ウィルス対策ソフトを選択するという視点では、新バージョンの持つ検知エンジン性能や新機能が実際に稼働している2011年の3月というこの時期あって、やや情報不足の感が否めないことを先にお断りしておきます。
また、対象としているソフト数が、今となってはやや物足りないことも、あえて付け加えておきます。

2010年の総合評価ランキングNo.1のウィルス対策ソフトは「F-Secure(エフセキュア)」

今回、2010年の総合的ウィルス対策ソフトのトップ(プロダクト・オブ・ザ・イヤー)として、「F-Secure(エフセキュア)」を挙げました。
ただし、これは2010年バージョンにもとづくものとなります。

※2010.3.2に以下の記事をエントリーしていますので、F-Secureを試してみたいかたはあわせてご覧下さい。
「F-Secure Internet Security 2011」無料180日(6ヶ月=半年)評価利用版をダウンロード

”総合的”とあるように、”高いウィルス・マルウェアの検出率・検知性能(潜在的な悪意的な脅威も含む)”、”ウィルススキャン性能の高速性”、”PCのパフォーマンスに与える負荷(使用感・動作への影響)”、”誤検知の実績”、”意味不明なプログラム上の欠陥(バグ)の有無”、そして、”ユーザの意思決定(操作判断)/相互作用に大きく依存することなく、インターネット(Web)も含めた感染ルートからのマルウェア(悪意のあるソフトウェア)の進入からのシステム保護”などの各種評価テストからまとめられた結果となっています。
そのため、ウィルス検知スピードなど、ひとつの性能に的を絞っると、2011年2月現在では「avast!6(アヴァスト6:無料版・上位機能搭載の有料版含む)」がトップの座についています。
これは、実際の利用環境・使用者の用途・目的、PC性能などを考慮した場合に、「万人にとって100%最善の一本!」は、けして存在しないことを意味しており、AV-Comparativesもそのレポート上でその旨明記しています。

次に、各性能テストで上位に位置づけられたウィルス対策ソフトをそれぞれ見ていくこととします。

 

 

A.オンデマンド マルウェア検知性能 評価テスト結果上位

「オンデマンド マルウェア検知性能」とは、「既知ウイルス検出テスト」を意味し、PC利用中のリアルタイムでのマルウェア(悪意ある脅威的プログラム)の検知・検出性能と、誤検出・誤検知・誤アラートの発生頻度(もちろん少なければ少ないほど良い)という、ウィルス対策ソフト選びにおいては、決定的で重要かつ信頼性の高い機能の一つです。
主に、インターネット閲覧中やメール送受信、ファイル操作など、ユーザーのパソコン利用行動を引き金として感染リスクが生み出されるアクション上での検出性能をみるものです。

オンデマンド マルウェア検知・検出性能の評価順位およびテスト結果
※(右:検出率(%))
※2010年2月及び8月のテスト結果をベースに評価
1位:G DATA(ジーデータ) → 99.7%
2位:avira(アヴィラ)→ 99.5%
3位:Symantec(シマンテック・ノートン製品)→ 98.6%
4位:F-secure(エフセキュア)→ 98.4%
4位:PC Tools(PCツールズ)→ 98.4%
6位:BitDefender(ビットディフェンダー)→ 98.3%
6位:eScan(イースキャン)→ 98.3%

2010年において、G DATAが通年の好成績をおさめています。
ここでランキングされているソフトタイトルはいずれも好成績であり、検出・検知率にかぎっていえば、どれを選んでも大きな差はないといえます。
その上で、特に、日本ではあまり知名度がないソフト名が挙げられていることにも注目してください。
日本がいかにソフトウェア後進国であるかを如実に示しているともいえます。
実際、純和製(国内産)のウィルス対策ソフトウェアは皆無に等しく、ウィルス対策ソフトの選択基準がCMやネット上のアドバタイズなどの広告露出度などに依存する傾向が強いという現実も露呈しています。

B.プロアクティブ オンデマンド検知性能 評価テスト結果上位

これは「未知ウイルス検出テスト」であり、それぞれのウィルス対策ソフトの最高の検知設定を使用して静的・オフラインでの検出結果を示したもので、どれだけ積極的に”新しい、もしくは、未知のマルウェア(悪意ある脅威)を検出できるかを調査しています。
ウィルスやマルウェアには、もちろんまったくの新種もありますが、いわゆる”亜種”という、もとの悪意のあるプログラムを開発者もしくは開発者以外のまるっきり他人が、各ウィルス対策ラボが発見して作成したワクチンファイルに対抗するべく改変した派生ウィルスも多くあり、これに対しての臨機応変な対応力をはかるテストでもあります。
また、この”高い(積極的な)検出率”において高評価を得るには、同時に誤報率の低さを達成する必要があります。

プロアクティブ オンデマンド検知性能の評価順位およびテスト結果
※(右:検出率(%)と誤検出頻度(単位:FP)
1位:G DATA(ジーデータ) → (~61%, 20 FP)
2位:Avira(アヴィラ:無料版・有償版)→ (~56%, 21 FP)
3位:Microsoft(MSE=マイクロソフト セキュリティエッセンシャルズ:無料)→(~55%, 6 FP)
4位:F-secure(エフセキュア)→ (~54%, 4 FP)
5位:ESET NOD(イーセット エヌオーディー)→(~54%, 9 FP)

C.誤検出頻度 評価テスト結果上位

セキュリティという観念上、ウィルス対策ソフトによる誤検出・エラーは、パソコン利用の上で深刻なトラブルにつながる可能性が低くはありません。
製品として世に送り出される前に、いかにしっかりとした調査・性能チェックが行なわれているかという、対策ソフトベンダーの姿勢をみる項目でもあり、重要な選択肢といえます。

誤検知頻度項目の評価順位およびテスト結果
※(右:誤検出頻度)
1位:F-secure(エフセキュア)→ (4)
2位:Microsoft(MSE=マイクロソフト セキュリティエッセンシャルズ)→(6)
2位:eScan(イースキャン)→(6)
4位:BitDefender(ビットディフェンダー)→(7)

D.オンデマンド スキャンスピード 評価テスト結果上位

パソコンユーザーにとって、その利用環境上にあるすべてのシステム、データ・ファイルがいかにウィルス感染や汚染がなくクリーンであるかは、情報漏洩(プライバシー情報・個人情報、企業情報・データなどセキュアな情報すべてを含めて)を他所へ送信する危険性と他のPCへの感染拡大など、そうしたウィルスやマルウェアの振る舞いを考えれば、当然重要なこととなります。
以下は、それぞれのソフトにおいて最高位の検出設定を利用したスキャニング速度に基づいたものです。

オンデマンド スキャン速度の評価順位およびテスト結果
※(右:誤検出頻度)
1位:Avast(アヴァスト:無料版・有償版)→ (~16.4MB/秒)
1位:Avira(アヴィラ:無料版・有償版)→ (~16.4MB/秒)
3位:Symantec(シマンテック・ノートン製品)→ (~16.0MB/秒)
4位:Panda(パンダ)→ (~15.9MB/秒)

上位だけを見てみればそれほど大きく差がないことはわかります。
消去法もウィルス対策ソフト選びにおいては大切なため、この項目については、下位のソフトウェアにも注目する必要があります。

E.全体的パフォーマンス(低システム負荷)評価テスト結果上位

ウィルス対策ソフトは、ユーザーのパソコン上でいかなる処理や操作を実行している間にも動作している必要があります。一部のウィルス対策ソフト製品によっては、いくつかのタスク・作業・処理を実行中に、「操作が重くなる」、「画面が固まる」、「カーソルが硬直する」など、システムのパフォーマンスに高い影響(悪い影響)を与える可能性があります。

システム負荷パフォーマンステスト結果と順位

1位:K7
2位:Kingsoft(キングソフト)
2位:Sophos(ソフォス)
4位:Microsoft(MSE=マイクロソフト セキュリティエッセンシャルズ)

ここで、注意してほしいのは、動作感が軽ければ良い、というものではないということです。
実際の、この順位には、検知能力など他の項目で非常に疑わしいものも含まれています。

F.オンデマンドによる潜在的な悪意のある脅威・アプリケーション 検出能力 評価テスト結果上位

アドウェア、スパイウェアやマルウェア、ボット、フィッシングなどインターネット上の感染リスクや、その他の詐欺や不正なソフトウェアの量は、ここ数年間で大きく急激に増加しています。
このようなアプリケーションは、型にはまった挙動やパターンであるとは限らず、セキュリティ上、それらを”正しいものか?”、または”悪意のあるものか?に分類するのは簡単な作業ではありません。
そうしたプログラムやアプリケーションは通常「潜在的に脅威となる可能性をもった不要なアプリケーション:PUA(potentially unwanted applications)」と呼ばれています。
多くの製品はこうした不要なアプリケーションについての対応に良い結果を残していますが、次の3つの製品はこの評価テストおいて、特に高い検出率を示しました。

1位:Panda(パンダ)
2位:Symantec(シマンテック・ノートン製品)
3位:TrustPort (トラストポート)

G.製品全機能によるダイナミックプロテクション評価テスト結果上位

インターネットセキュリティ”スイート”などの有償版セキュリティ製品の中でも総合機能を備えたものは、ウィルス・マルウェアからパソコン(システム)を保護するためにさまざまな機能を備えています。
そうした保護機能は、現実的な利用条件の下でテストされてこそ意味があるといえます。
実践的(実戦的)な性能をはかるという意味では、このテスト項目には大きな価値があります。
ここでは、そのソフトタイトルが持つすべての詳細設定の機能をオンにした上で評価が行なわれています。

1位:F-secure(エフセキュア)
1位:Symantec(シマンテック・ノートン製品)
3位:Avira(アヴィラ:有償版)
4位:Microsoft(MSE=マイクロソフト セキュリティエッセンシャルズ)

今回の結果に基いた、2011年に選ぶべきウィルス対策ソフトなどについての当研究所的総括

AV-Comparativesは、2010年の総評として、F-Secure(エフセキュア)を挙げましたが、性能・機能ごとの評価・ランキングを個別に見た場合、必ずしも同ソフトが上位を獲得しているわけではないことに気付きます。
近年、AV-Comparativesにある傾向(偏向)が出てきたとささやかれることも実はなくはありませんし、当研究所も一部やや懐疑的な評価を感じています。

実際の現場では、ウィルス対策ソフト選びにおいてまずまっさきに挙げられるのは、以下の2つです。

・評判
・コスト(価格や料金・値段:1年/1台あたりのコスト)

特に、コストについては、無料のウィルス対策ソフトがこれだけ性能をキープしながら、かつ、利用者も増やしていることを考えると、大きな要因となります。
今、この2011年にあって、特に日本国内に限って言えば、おかしな話ではありますが、”有料のソフトにしか選択肢がないユーザーこそ苦境・苦渋にある”といえます。
なぜなら、日本国内で著名なものは有料のものかつ低パフォーマンスのものが多く、また、広告主導本位での選択となるため、もともとソフトウェア開発文化や意識の低さなど土台のもろさが、そのまま財布を持ったユーザーに災いするかたちとなっています。

ただ、いずれの結果においても、それを鵜呑みにすることなく、まずは自分の環境にあった最適な一本を見つけることが大切です。
その意味で、各ウィルス対策ソフトベンダーが用意している無料評価版・体験版はとても有効的であり、また、使い方によっては無料で利用可能なソフトのほうが動作感などではっきりとメリットを示すことがあります。
その点は、AV-Comparativesも認めています。

「あなたは、ここに挙げられたウィルス対策ソフトのうち、何本の名前を知っていますか?」
また、
「何本を試したことがありますか?」

「自分の環境にあう」とは、つまり、バランスの優れた一本を探し出すこと。
自身のパソコンの用途、特にインターネットのサイト巡回先・閲覧先・ジャンル、メールの送受信の方法、ネット-ワークへの接続方法など、項目ごとに絞っていけば、自ずと高めるべきセキュリティの度合いもはじき出されます。

それは、ユーザーそれぞれがひとつずつ持つセキュリティの方程式であり、
多くの機能をもち、多額な料金で、広告ばかり目にするだけのウィルス対策ソフトには、”おそらく”本物はないというこたえが、きっと出てくるはずです。

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