PCウィルス制作者を裁く「ウイルス作成罪」創設のための刑法改正が検討に

近年、企業のWebサイトがのっとられるガンブラー攻撃や、WinnyなどのP2Pを経由して感染する「タコイカウィルス(イカタコ)」など、世間を騒がすサイバー犯罪が日常的になってきています。
もともと、ほとんどのものが自然より発生する人間に対してのウィルス(病原菌)とは違い、PCウィルスには、かならずその生みの親、つまりウィルス制作者が存在しています。

そうした中、2010年8月、個人情報を流出させることを目的とした悪質なコンピューターウイルスによるサイバー犯罪の増加に警鐘を鳴らすため、法務省は「ウイルス作成罪」の創設のための刑法改正の検討に入ったことが発表されました。
これは、PCウイルスによるサイバー犯罪が相次ぐ一方、司法としてパソコンウイルスの制作・作成や感染のための頒布を直接的に罪として問える法律がこれまでなかったことによるものです。
具体的に、法務省が創設を検討にはいったのは、ウイルスを”作成”したり、”ばらまく”ことを禁止する「不正指令電磁的記録作成罪」(仮称)とされています。
刑の重さとしては、懲役刑も可能とされているようです。

今回、こうした法整備が検討されだしたのは、2010年5月に、Winny、ShareなどのP2P(ファイル共有)ソフトにより個人情報を流出させるウイルスをダウンロードさせる仕掛けをつくり、感染者(被害者)から個人情報の削除を理由に現金を詐取・恐喝したなどの詐欺容疑でつかまったインターネット広告会社役員らや、そして2010年8月に、パソコン内のファイル・アイコンを勝手に上書きする「タコイカウイルス」をダウンロードさせ感染させパソコンを使用不能にしたとして器物損壊容疑で逮捕された会社員など、日本人が日本人に対してのウィルスによるネット攻撃・詐取の犯罪が目に見えて増加していることにあります。
これらのように、現時点では、ウイルスをばらまくだけでは、現行法で問える罪の適用範囲が難しいための措置ともいえます。

こうした刑法の改正案については、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案などとともに2003年より三度政府が国会に提出していますが、いずれも廃案となっています。
それを甘さと捉えられないよう、おそらく今回は社会的にサイバー犯罪防止・阻止の必要性がより高まっているとして、近い時期に創設される可能性が高まっています。

コメントを残す